1.題字の意訳
意気込んで取り組んだ古文書奮闘記だが、第1話は題字の翻刻だけで疲れてしまって、意訳にまでいかずに終わってしまっていた。中途半端だが第2話は題字の意訳から始めなければならない。
「奉差上御請書之事」。題字はこれである。「奉」は返読文字なので文語体のまま読むと「差し上げ奉る御請書の事」と読むのだと思う。読んでみてもさっぱり意味が分からない。差し上げ奉っているのは何なのか?御請書とはこの文書のことではないのか?
ここからは国語力と歴史力を求められる。「請書」とは現代でも使う言葉で契約書と同じ意味である。江戸時代、地主と小作人との小作契約の証として文書が交わされていたこと。そして、この文書の題字からみて、この文書が請書そのものではないことがうかがえる。つまり請書は別にある。
「すでに差し上げさせていただいております御請書につきまして」というタイトルなのではないだろうか。さらに意訳すれば、「請書の取り決めは承知の上ではございますが、ご相談したき儀がございます」という解釈ができるのではないだろうか。つまり年貢米を少しまけてくださいという嘆願書。
もし間違っていれば、このコメントをアップした後、歴史ネットの会の古文書に詳しい大御所サマの方々から「違うぞ!ゴルァー!」と厳しいご指摘コメントが投稿されてくると思う。
2.「奉差上御請書之事」本文の翻刻
さて続きの翻刻に戻る。題字以降の箇条書きは田畑の面積と取れ高に対する年貢米の率だと思われる。つまり「御請書」の記載内容の再掲。ここは数字が主なので省略する。本文の書き出しは写真のとおり。
1文字目は「右」これは読める。「石」かとも思ったが、2文字目の「し」みたいなのが「之」であることは学習済みなので、その前は「右」が正しい。3文字目は題字にも出てきた行にんべん。「御」である。次が「田」、その次はたぶん「作」。「今」。7文字目はわからないので飛ばして、8文字目から「地」、「成」、そしてまた「御」。
「おおっ、読めるぞ」ラピュタの石板の前に立つムスカ大佐の気分になったのもつかの間、そこから先が読めなくなった。
「右之御田作今〇地成御」判読文字を並べてみると〇のところは「度」が当てはまるように思う。
行き詰まったら古文書解読AIアプリ「みを(miwo)」の登場。
「みを」によると11文字目と12文字目は「見分」と出る。なるほど。13文字目はこれも「御」と出る。そういわれてみれば行にんべんである。2、5文字目は私の見立ての方が正しいと思う。1行目の最後も「蕨」ではないと思う「頼」かな。
2行目冒頭は「みを」が反応していない。3文字目、4文字目は「申上」だと思う。そして何文字かあいて「御見分」がまた出てくる。そして「御三人様」。
判読できたところを並べてみる。
「右之御田作今度地成御見分頼」「〇〇申上〇〇〇御見分御三人様〇〇」
2行目前半を拡大して文字分割すると写真のようになる。
冒頭が1文字か2文字か悩ましい。書き出しのひらがなの「を」ような筆運びに見覚えがあるので探してみると、タイトル冒頭の「奉」と似ている。「電子くずし字字典データベース」で「奉」を検索すると、以下のようなリストが表示された。やっぱり「奉」である。
次に「申上」の下の「々」のような小さなくずし字には覚えがある。佐賀県立図書館の古文書入門動画に出てきた「候」のくずし文字である。あと2文字。候に続く文字を肩端からこのデータベースで検索した。

写真のように、検索の結果、「処」「為」と判明。
残りは「御三人様」の後の2文字。この時点で最初の文字は見当がついていた。「候」の近くの文字を探す際、「候」の近くには返読文字が多いので、おさらいのつもりで古文書入門動画の返読文字の章を見返している時に「為」と一緒に見つけた「被」である。
最後の文字は全くわからないままである。
「右之御田作今度地成御見分頼」「奉申上候処為御見分御三人様被〇」
3行目は右のとおり。「御」はずいぶん見慣れてきた。3か所出ている。「御出郷作方御丁寧に御見分の上」
4行目、「壱石代御免四ツ〇被 仰〇〇共」。最後の文字は「みを」によると「共」のようだ。「被」の後が1文字空けて闕字となっていることが「被」の特徴でもある。わからない文字は長く考えても出てこないので、わからないまま、読み下し文にしてみる。
「右の御田作、この度、地成りしに、御検分お頼み申し上げたてまつりし処、御検分の為、御三人様御出郷〇され、作方御丁寧に御見分の上、壱石あたり御免四つ仰せ〇られども」
意訳は
「右記載の田畑につきまして、この度、無事実りを迎えましたので、御検分をお頼みしたところ、御検分の為、御三人様に現地に出向いていただき、作柄を御丁寧に御見分の上、壱石あたり四割を上納御免と仰っていただいたところではありますが…」
本文の解読はたった3行だけで、しかも文章としてはまだおわっていないのだが、ここまでだけでもずいぶんと時間がかかり、集中力も途切れてきた。
古文書奮闘記その2は、これくらいにしといたろ。
「古文書奮闘記その2」への2件の返信
感心しました、学力すごいと思います、◯字の処ですが三人様被遊、仰付候得共と読みました、御検討ください。また、頑張ります。
私のコメントが届いていますか?機械?が苦手でもう一度試み増す。西田さんの学力すごいと思います!13文字目は願、4行目は被仰付候得共、2行目は三人様被遊、と読みました、仰せつけられ候らえども、お三人様御出郷遊馬され、かな?又、頑張ってみます、